待ち人来たりて、されども

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 今日もいつもと同じように、ゆったりとこの風景と時間の流れにたゆたうように身をまかせる。  何も考えなくていい、というわけではないけれど、少し行ったところにある目抜き通り沿いとは時間の流れが違っている気はしてくるし、思考をゆっくりと巡らせる程度のことはできる。  ふんわりとした、夢を見るような心地で、空を見つめて。  その視線をゆるやかに下ろし、大きな川にかかる橋を眺めていた。  その時だった。
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