待ち人来たりて、されども

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 ひとかげが、ひとつ。  それも、ただの人影では無い。  一瞬気のせいかとも思ったが、そんな感情はすぐに掻き消えた。  足元がおぼつかないことになんとか気付きながらも、ゆっくりと歩を進める。  遠くからでも見間違うはずのないその姿は、近づいてもやっぱり彼だった。  歩道についていた段差に少しだけつまづきそうになる。  靴が地面とこすれる。  風が吹く。枯葉が舞う。  その音に気づいたように、こちらを向いた。  間違いなく、彼だった。
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