2人が本棚に入れています
本棚に追加
未来からの君
部活の練習に励む生徒達の声や、放課後の教室でお喋りをしては楽しそうに笑う声。
そんな賑やかな声が響く静かな教室で、私ーー星宮 明莉は日直の仕事である日誌をひたすら書いていた。
早く帰って録画していたドラマを見て妄想に浸りたい、そんな気持ちで日誌を書き殴るようにペンを走らせた。
主演の俳優達の顔を思い浮かべてニヤニヤしていると、教室の後ろから誰かが近づいてくる足音が聞こえてきた。
そんな足音を聞きつつ、早く終わらせるべく必死に書くことに集中する。
「おお〜!明莉だー!」
聞きなれたその声がいきなり私の目の前で聞こえてきて、ビックリして前を見ればおっとりした猫目をキラキラさせた幼馴染の日比谷 光希だった。
今は部活でグラウンドを走っているはずなのに、なんでここにいるのか分からない。
しかも、大人びた私服姿でいるのかが分からない、制服はどうした?
キョトンとした顔で光希を見つめると、なんか嬉しそうに私の顔を眺めている。
「光希……どうしたの?部活は?」
その質問に何故か笑われたかと思えば、私の椅子の周りをぐるぐる回って満足そうに一つ頷いた。
「やっぱりちょっと若いね、明莉」
「何言ってんの?」
「いやあ〜制服姿こう見ると可愛いね。写真に収めておきたい」
「ちょ?!そんな恥ずかしい言葉サラッと言わないでくれる?!」
どうしたんだこいつは、ジロジロと私を上から下までじっくりと眺めて満面の笑みを浮かべている。
最初のコメントを投稿しよう!