未来予知は的中です。

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未来予知は的中です。

誰かが大きく私の名前を呼ぶ声と、部屋に鳴り響くスマホのアラーム音。 重たい瞼をゆっくりと開けると同時に、お母さんが扉を乱暴に開けて入ってきた。 「明莉!もうあんた遅刻するわよ!早く起きなさい!」 「そんな大声出さなくても、大丈……ばない!!」 ロックを開けたスマホの画面に表示された時刻に、私は慌てて飛び起きてパジャマを脱ぎ捨てた。 クローゼットの中にあるワイシャツと制服を取り出して、急いで着替える。 鏡の前でおかしな所はないかを確認して、寝癖のついた髪を一つに束ねる。 椅子に置いてあった鞄を掴むと中から何かが床に落ちるけど、お構い無しにそのまま一気に部屋を出て階段を駆け下りた。 洗面所でサッと歯を磨いて、ちゃちゃっと顔を洗ってこれで完成。 玄関へと向かい履きなれたローファーの踵を少しだけ踏みながら、玄関の扉を開ける。 「行ってきます!」 「明莉っ!おべーー」 お母さんが何か言っているけれど、そんなのゆっくり聞いてられる時間はない。 スマホで時間を確認すると8時ちょうど。 あと3分でバスがバス停に到着してしまう……このバスに乗れないと遅刻決定だ。 全速力で走り家から近いバス停が見えてきた。 よし、ギリギリ間に合っーー た、はずなのに私の横をバスが通り抜けて行った。 「そこのバス待ったああ!!」 そう言って手を伸ばすけど、バスは私を無視して行ってしまう。 嘘でしょ?!こんな事ある?! 体力に限界が近づき、バス停から少し離れた場所で酸素を求める身体に深呼吸して酸素を送る。 大きく肩で息をして、少しだけ涙目になる。 こんな最悪な朝になるなら、昨日遅くまでドラマなんて見るんじゃなかった。 そんな昨日の自分を恨みながら、仕方なく駆け足で学校へと向かう。
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