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いつもと同じ場所。
その欄干に腕を乗せ、朝焼けを見つめる人の姿があった。
その横顔は見覚えがあり、不意に目頭が熱くなっていくのを感じた。
――あぁ、彼だ。
その姿を見ただけで、想いが溢れ返るようだった。
それはどうにも止められなくて、溢れる涙で視界がぼやける。
「――綾音」
私の存在に気付くと、彼は屈託のない笑みを浮かべた。
私の名前を呼ぶ声も見つめてくる瞳も、あの頃と同じだ。
私はなにも言わず、ただ彼の腕の中に思いきり飛び込んだ。
彼はしっかりと受け止めてくれて、優しく抱きしめてくれた。
――その瞬間、過去と未来が交錯したような気がした…。
【END】
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