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と言うこともあって、こんな難ありな女だから愛想だけは良くしていようと常日頃から心がけている。
いつか、こんな私でも受け入れてくれる人が突然、現れるんじゃないかって自分磨きを怠らない。
そして、今日私をこんなにも翻弄する運命の手首に出会った。
今すぐにでも噛みつきたい衝動を何とか抑えた自分を誉めたい。
本当はその場で味わい自分のものにしたかった。
けれど出来なかった。
だってその手首の持ち主が同期の安達くんだったから。
安達くんの手首を思い出すだけで胸が高鳴る。
スラッと伸びた長い指がボールペンを握ると少し筋ばしる。
そして筋ばった手の甲から続く手首。
男の人にしては細めだよね。
その先に続く腕の太さが尚更、キュッと手首を引き締め…
ああ、ダメだ
あんな理想の手首、出会った事ないよ。
噛みたい
噛みたい
噛みたいよぉぉぉおおお~
その夜、狼女の遠吠えは収まらなかった。
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