言えないから秘密なんでしょ

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「おはようございます!」 今日も私は明るい笑顔を振り撒きながら、売り場へと続く扉を開けるとまだ開店前の店内を颯爽と歩く。 私の職場ーーー 某有名デパート。 そこの社員として働いて二年目になる。 親から譲り受けた誰もが羨む美貌と努力で作りあげたこのパーフェクトボディ。 そして完璧なまでの天使の笑顔。 男性社員を始め、たまにやって来るメーカーの営業さんまで私をモノにしようと何かと言い寄ってくる。 だけど私はその都度言う、 「お気持ちは嬉しいのですが…どうしても忘れられない人がいて、、、」 本当は忘れられない人なんていない。 けれど嘘でもこういうしかないのだ。 本当の事なんて言えない。 言えるワケがない。 だって私はーーー
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