俺にだって秘密はある

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言えた…噛まずに言えた。 夕べ練習した甲斐があったな。 実は俺、スイーツに目がない。 とにかく甘いものが大好きで色々と雑誌なんかで見つけては実際に足を運んでいる。 この店もそうだ。 ウサギ堂といって最近話題のカフェだ。 ふざけた感じの雰囲気ではあるものの味はめちゃくちゃレベルが高い。 世界中の有名な洋菓子店で修行を積んだパティシエがこの店のオーナーでもある。 俺はどうしてもここに来たかった。 ちょっと言いづらいネーミングのメニューと男だけではちょっと入りづらい店内だけどそれでもここに来たかったんだ。 「荒川、甘いの平気なの?」 「へっ?ああ、好きよ。ただ太ると嫌だからあまり食べないけど。」 「お前、めちゃくちゃ細いじゃん。」 「そんな事ないわよ。それより大丈夫?さっきの…」 ああ、そうだった。 俺、荒川に手首噛みつかれたんだっけな? 「大丈夫だよ。ただ驚いた。」 「そうだよね…やっぱり。」 荒川がうつ向く。 「あのさ、何で噛んだの?」 「えっと…それはー」 歯切れの悪い荒川。 「何だよ。話してみろよ。どんな内容でもちゃんと聞くからさ。」 「本当に?」 さすがに社内でも評判の美人だけあって上目遣いで俺を見上げる表情に思わず見いってしまう。 「ああ、話せよ。ラクになるかもよ。」 「じゃあ…」
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