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夜10時少し前
シンクの中にいくつも溜まったグラスや皿を手際よく洗う。
「司くん、もう上がっていいよ!」
「あ、斗真さん。お疲れ様です」
「明日も学校あるし早く帰って休みな?」
「はい...」
「それと今度の連休どうする?もし君が出れるようなら出勤して欲しいんだけど?」
「それなら出るつもりでいましたから...」
「そう?ならお願いするね!」
司が全てを洗い切り黒いサロンで手を拭いた時。
『斗真さん指名です!お願いします!』
「おう!里衣ちゃんもう来たんだ!」
そう嬉しそうに頬を緩ますと斗真は司の肩を軽く叩き厨房からホールへ戻って行った。
ロッカールームでサロンを解き、私服に着替える。
そこにも客に必死に連絡を取るホストが何人かいた。
彼らの会話を興味もなく聞き流し着替えを終えた司は邪魔にならないよう小さな声で“お先です”と告げ出て行った。
ホールの隅を静かに去って行く司を見送り斗真は隣に座る里衣の肩に手を回す。
「ねぇ、斗真くん?」
「ん?何、里衣ちゃん?」
「あの子...キャストしないの?人気出そうだけど」
「司くん?あぁ、そうしたいけどまだ歳がね」
「そう、早く18になればいいのにな」
「里衣ちゃんそれって...司が歳足りたらボクから指名替えしちゃうってつもりじゃないよね?」
「あら?バレた?」
「そんなぁ!」
斗真は拗ねたように唇を尖らせると里衣の肩を抱き寄せる。
そうされて里衣は嬉しそうに微笑んだ。
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