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ある秋の一日
見慣れた街並みを1人と1人で歩く。
他人から見ても味気ないデート。
流行の服もなければ話題のスイーツも食べられない店たちを横目に、少し前を歩く彼――圭祐を見る。
右手のスマホは耳に、左手はズボンの後ろポケットに入れている。
背中の筋肉がよく動いて、普段通りの饒舌がここにはいない誰かへ向けられる。
彼の世界で私――楓――は、とっくに消えているのかもしれない。
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