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一週間前
―――先週、圭祐の浮気を問い詰めた。私の家に2人でいるときに女から着信があったからだ。相手は私の大学の友人だった。
以前から不穏な兆候はあった。電話を掛けても3コール以内で切られるし、私の目を見て話さなくなったし。なにより2人で会う回数が週1から月1以下にまで減っていた。
でもまさか自分の友達となんて考えたくもなかった。彼にはきっぱり否定してほしかった。私は拳を握った。
「何にもないのよね? そうだよね?」
命乞いのように言った。
「ごめん。俺が悪かった」
彼から返ってきたのはアッシュに染めたばかりの頭と情けない背中だった。
ズキリとお腹が痛んだ。
その後、彼は膝をついて土下座までした。
「楓のことが好きだ」
「もう一度チャンスがほしい」
100円ショップで売られてそうな言葉。小綺麗なのは見た目だけ、特別な価値なんてない。
なのに私は買ってしまった。大事にしなければならない物だと思った。
彼の心にはまだ、まだ私が埋められる穴が空いているんだと、信じて。
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