第一章 港町の設計士

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「………………そこだっ!」  イービルアイたちの目から高熱量のレーザーが放たれる寸前、柊吾は左足で地を蹴ると同時に、ブーツ裏の噴射口で炎魔法による『燃焼』と風魔法による『圧縮』でバーニアを起動した。  ――バシュゥゥゥンッ!  噴射の轟音と共に地が砕けた直後、二本のレーザーが地面を焼く。  柊吾は既にイービルアイと同じ高度まで飛び上がっていた。先ほどと同じ要領で腰下のバーニアを背面へ噴射する。  敵の高速な接近に気付いたイービルアイが第二射を諦め、その硬い(まぶた)を閉じようとするが―― 「遅い!」  瞬時に間合いを詰めた柊吾が巨眼を横一文字に薙ぎ払う。 「キィィィィィッ!」  断末魔の悲鳴を上げ、イービルアイは墜落していく。柊吾もまた、次の相手へ迫るべく腕の噴射で向きを変える。十メートルは離れた二体目は既に光を収束させていた。  柊吾は構わず、腰バーニア出力全開で真正面から突っ込む。  しかし、間に合うこともなくイービルアイのレーザーが放たれる。その瞬間、左腕を顔の前へ突き出し叫んだ。 「アイスシールド!」  直後、柊吾の左腕に蒼白く半透明の大きな盾が生成され、レーザーを受け止めた。 「ぐぅぅぅぅぅっ」  レーザーの力とバーニアの力が均衡する。すぐにレーザーの放射が終わると、柊吾は左腕を横へと払い右の大剣の切っ先を前方へ向ける。そして右腕肘で噴射突進し、巨眼の中央へと深く突き刺した。
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