第一章 港町の設計士

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そして、十年後―― 「――見つけた」  倒壊した民家の影に隠れながら柊吾が呟く。齢二十二歳の彼が今いるのは、フィールド『廃墟と化した村』。数十メートル前方に見えるのは『イービルアイ』二体と『カトブレパス』一体だ。クエストの達成目標は『イービルアイの巨眼×2』。カトブレパスは余計だが、 「コイツのテストには丁度いいか」  呟いて廃墟から飛び出し、モンスターたちへ走っていく。  その両足には噴射機構付の義足。両方の太もも側面に、キャノン砲のような短めで四角い噴射バーニアが装着され、ブーツには左右と足の裏にも小さな噴射口が付いている。義手には腕から肘にかけて車のマフラーのようなバーニアが伸びており、腕の向きによってあらゆる方向へ噴射が可能。それらは暗めのメタリックカラーでコーティングされており、名を魔術機動・強化装甲『(はやぶさ)』。今回が初の実戦というわけだ。武器としては、全長二メートルほどもあり、刃幅も全身を覆い隠せるほど広い超大剣『グレートバスター』を右肩に乗せている。  柊吾が走り出してすぐに上空のイービルアイ二体が反応した。巨大な目玉の後ろに生えた翼を羽ばたかせ、柊吾へ狙いをつける。そして、二体とも目の中央に光の収束を始めた。
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