第一章 港町の設計士

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「キィィィィィッ……」  イービルアイの下瞼を足の裏で蹴り、剣を引き抜くとその死骸は落下していった。  そしてすぐ下、上空での戦いに見向きもしてない、灰色の強靭な外殻と体毛に覆われたカトブレパス。四足歩行で馬などよりも一回り大きいが、その長い頭の重さのせいか地面すれすれまでしか顔を上げられないでいる。  柊吾は断続的なバーニア噴射で敵の頭上まで移動すると、大剣を両手で振り上げた。 「うおぉぉぉぉぉ!」  急速に落下し、カトブレパスの背中から渾身の一撃を叩きつける。 「グオォォォォォン」  カトブレパスは野太い声で唸り声を上げると、勢いよくその場に倒れた。  カトブレパスは防御力が高く、接近戦ではその重たい頭を振り回しさらに、その目を見た者を石化させるという厄介なモンスターだ。しかし上空からの襲撃には滅法弱い。 「ふぅ……」  柊吾は大剣を地面に突き立てると、背後のポーチから伸縮式のゴム袋を取り出し、イービルアイの死骸の元へと歩いていくと、その半径二メートルはある目玉を抜き取りゴム袋に入れた。袋は大きく伸び、まるでサッカーボールをネットに入れているかのようでもある。  見かけによらずイービルアイの素材は有用だ。光線を放つ目玉は加工することで、瞬間的に光を発散させる使い捨てアイテム『フラッシュボム』になり、硬い瞼や翼は防具の強化素材になる。しかし常に滞空しており、レーザー照射が強力であるが故に討伐は楽ではない。それでもクラスCの低級モンスターだ。
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