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月曜~金曜まで、毎日放送されているアジアドラマ。韓国ドラマの現代物、時代劇、中国ドラマの時代劇と、それぞれに面白く見ています。
特に「瓔珞(エイラク)」という中国ドラマが気に入っています。
舞台は「清代」、主人公の瓔珞は姉の死の真相を探るため、繍坊(皇帝や妃嬪の衣装に刺繍をする部署)の奴婢として「紫禁城」に入ります。「紫禁城」は身分の差が激しく、奴婢や宦官は人扱いされない、皇帝や妃嬪の機嫌を損ねただけで酷い罰を受ける。時には命すら奪われる、とても恐ろしい場所です。
瓔珞は頭がよくて口達者、理不尽に泣き寝入りせず、「やられたら、やり返す(何かの番組の決め台詞みたいですが)」強い女性。
見た目は美人だけれど冷たい印象で、物言いがつっけんなので女子からは嫌われそうなタイプかも。敵と見なすと容赦ないですが、懐に入れた相手は危険を犯しても助けます。
実は情に篤く、姉と慕う皇后には驚くほど献身的でした。
見所は、後宮内の妃嬪達のドロドロの争いと、怒涛のように主人公を襲うトラブルの数々!
仲間に陥れられるわ、後宮の主的存在の貴妃に目をつけられるわ、皇帝の怒りを買うわ、それらを自らの才知のみで切り抜ける瓔珞が痛快です。
この時代に実在し、女官から皇后まで上り詰めた女性がモデルになっています。
浅田次郎さんの小説「蒼穹の昴」は、「瓔珞」より少し後の時代が舞台です(西太后とラストエンペラーの溥儀の頃ですね)。貧しさから宦官となった少年が、紫禁城で高みへと登っていく物語。
この主人が健気でいじらしく、死んだ兄の幼なじみで、後に科挙に主席合格した良家の若君との立場を越えた絆が痛々しいほどに切ない。
「清」が滅亡へと向かう動乱の中で、道を分かつ二人が言葉を交わすのですが、その場面はもう号泣でした。
でも、あの弁髪(髪を剃りあげて、後頭部に長い三つ編みだけを残している髪型)は、あまり好きになれないですね。
清は満州民族の国であり、一説には馬に乗ることが多かった彼等が「戦闘の邪魔にならないよう」はじめた髪型だとされます。
彼等の支配下に置かれた漢民族は、この髪型を強制されました。儒教では、髪を含めて親から与えられた身体を傷つけることは「不孝」とされており、反発するも者も多かったそう。
逆らう者には死刑を以て臨み、「頭を残す者は髪を残さず、髪を残す者は頭を残さず」とも言われました。
弁髪は清が滅びる1911年まで続きました。
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