金木犀の香

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近所の家に金木犀の木があり、毎年この季節に橙色の花を咲かせます。 今年はまだかな?と思っていたら、一昨日の夜、甘い香が漂ってきて、塀越しに伸びた枝に開きかけの蕾が見えました。 「金木犀」は「木犀」の一種です、日本では橙色が多いですが、原産地の中国では黄色の「薄黄(うすぎ)木犀」や白「銀木犀」の方が多いのだそう。 「犀」の字が使われているのは木犀の樹皮が動物のサイの皮膚に似ているからだとか。 濃厚な甘い香りは、秋の冷たい空気に似合う気がします。 昨日は雨が降ったせいか、今朝は金木犀の香りをより濃く感じました。 数日もすれば花が散って、この香も楽しめなくなるんだなあと思うと、名残惜しいですね。 土曜日に、久しぶりに友人と会いました。 前に会ったのはコロナが流行る前なので、約二年ぶりです。 三泊四日で京都に行き、有名観光地をぐるりと巡って来たそうです。 お土産を貰ったのですが、その中に「鈴虫寺の御守り」がありました。 このお寺、私もかなり以前に行ったことがあるのですが、その名の通り鈴虫がたくさん飼育されていて、涼しげな声を聞かせてくれます。 門の前か、入ったところにお地蔵様がいて、「一願成就」というのでしょうか、ひとつだけ願を叶えてくれるそうです。 一番叶えたい願い事をひとつだけ。 悩みますよね…………昔、お参りした時は「ひとつだけ」と思いながら、心の隅で「あれもこれも」と願ったような気がします。 今、部屋の机の上に御守りと、願い方を書いた説明書が置いてあります。 何を願おうかーー 今度はちゃんと「一番叶えたい願いをひとつだけ」お願いしたいと思います。
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