韓国にて

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10年位前、友人と三泊四日で韓国旅行に行きました。 まだ、今ほど中国の方々がいなくて、店先で片言の日本語の呼び込みが飛び交っていた頃です。 初日は晴れで、女性添乗員さんの案内で色んな観光地を巡り、明洞の繁華街で化粧品を買いまくりました(買う度に、オマケが山程ついてくる)。 夜にはエステに行き、垢擦り、ヨモギ蒸し、石膏パックなどエステを堪能。 翌日は雨でしたが、少し郊外にある観光地へ。 伝統的な建物が残る住宅街や、ドラマの撮影にも使われるという建物を見学し、その後、韓国の宮廷料理を再現したという店で昼食を取りました。 「やはり、私は雨女」だと実感したのは、街の中心まで戻り、車を下りた道路が、足首が浸かるくらいの水嵩になっていたこと。 ガイドさんも「ここまで降るのは珍しい」と。びしょびしょの足を拭いて座敷に上がった時にはホッとしました。 三日目は自由行動で、ガイドブックを見ながら地下鉄に乗ってとある観光地を目指しました。地図を見ながらうろうろしていると、70代位の女性が「何処に行きたいのか」と言う感じで声をかけてきたので、私達は「ここ」とガイドブックを見せながら伝えました。 すると女性は無言のまま私達の手を引き、明らかに裏道らしい路地へと歩いていく。 私と友人は「これって、騙されて何処かへ連れて行かれるのでは…………?」と不安になっていました。 しかし、暫くすると、道が開け、目的の建物の前にいました。 私達は女性にお礼を言い、女性は何事もなかったかのように来た道を戻って行きました。 日本と韓国、二つの国の間には複雑な歴史があります。 例えば慰安婦問題、日本が韓国を支配していた時代があること、その時に起こった出来事を、私は殆んど知らない。 ただ、韓国の特に高齢の方は、日本人をよく思ってない人が多いと、私は勝手に思っていました。 女性の心中は分からないけれど、困っていた私達を案内してくれたのは、純粋な好意であったと思います。 海外では「危険」があることを前提に、行動するのが基本です。 でも、私の中に「偏見」があったのも確かだと思います。 この出来事について、私達は深く反省し、改めて女性に感謝しました。 夕刻、ホテルに戻りました。 このホテル、海外では珍しく最上階に大浴場があったのですが、脱衣場の床で滑ってしまい、とっさに棚を掴んだ時に肩を痛めてしまいました。 部屋に戻っても痛みはどんどん酷くなり、友人がホテルのフロントに交渉して、救急病院に車で連れていって貰いました。 検査をし、ホテルから付き添ってくれた少しだけ日本語が話せる方を通じて状態を説明してもらった処、「右肩にヒビが入っている」とのこと。 石膏で固めるほどではなく、右腕を吊った状態で、痛み止めらしい薬を貰い、ホテルへ戻りました。 この薬が「青」とか、「オレンジ」とかの原色で、飲むかどうか迷ったのですが、痛みもあったので飲んでから寝ました。 この、時何から何まで面倒を見てくれた友人には、本当に感謝です。 翌日はお昼頃に空港に向かう予定だったので、近くの店でお土産の物色とランチをしてたのですが、どうも薬が合わなかったらしく、食べたものを全て戻してしまいました。 胃がムカムカして、「この状態で飛行機に乗れるの?」「私、日本に帰れるの」みたいな所まで来てたのですが、「この飛行機に乗らなければ、次はいつ飛行機が取れるか分からない」と添乗員さんに言われてとにかく、空港へ。 袋を手に、友人と並びで何とか席をキープしてもらい、無事日本へ戻って来ることが出来ました。 空港から最寄駅までの直行バスで戻り、タクシーで家に着き、扉を開けた瞬間、母絶句…………先に伝えても心配させるだけかと思い、骨折の事は伝えていませんでした。 不思議なもので、家に帰った途端ホッとしたのか、海苔を巻いたお握りが美味しかった!吐き気とか、気分の悪さも消えていました。 日本食って素晴らしい………… 最寄の外科に行くと腕を吊ってる専用の三角巾(表面にハングルと電話番号がデカデカと書かれている)みたいなものに、看護婦さん達が興味津々。 「うわ~ハングルだっ」とか、「こんなのあるんだ」と。 日本では包帯で代用することが多いらしい。 嫌、私骨折してるんですけど…………とちょっと切なくなりました。 皆さんも海外での怪我には気をつけてくださいね。
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