当たり前の日常

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その光景を、私は職場のテレビ画面で見ました。 押し寄せる津波が家を、町を押し流してゆく、それを見つめる人々の悲痛な叫び………… 9年前の3月11日 午後2時46分 地震は一瞬で、人々から全てを奪っていきました。 「平和な日々が当たり前だとは思わない」、被災地の女性の言葉は、私達が忘れがちなことです。 コロナ感染によって、卒業式は縮小され、高校野球も中止、その他のスポーツやイベントも中止を余儀なくされています。 「当たり前の日常」がいかに恵まれたことであるか、痛感させられました。 日々増えてゆく感染者、大切な時間を奪われ、それでも「仕方ない」と口にする子供達、学生達、店の店主達。 行き場を失った子供達のために客の来ない店の一室を提供した料亭、お弁当やおにぎりを差し入れる店やコンビニ、在庫の紙を配布する印刷所。自身も苦しい中、小さな善意と辛抱が、この国を支えているのだと思います。 「当たり前の日常」が一日も早く戻りますように、小さな善意と辛抱が報われることを祈ります。
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