04、武美くんの秘密

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04、武美くんの秘密

 給食が終わると昼休み。  大国くんとわたしは校庭すみっこの日陰にいた。  うちの中学の校庭周りには、なぜかウサギの銅像があちこちに建てられている。第一期の卒業制作らしいが、これを造らせた教師の意図はわからない。  ウサギたちは結構デカい。立ち上がった大国くんの腰の高さくらいある。それらが手に人参を持っていたり、辞書みたいな分厚い本を持っていたり、隣のウサギにボディパンチを仕掛けていたりする。  ボディを交わすように両手でガードを決めて腰を落としているウサギのそばが、わたしたちのお気に入りスポットだ。  ここは職員室の窓からは死角にあたる。ふたりで頬をくっつけるくらい近寄っても、先生たちが職員室にいる限りは絶対に見えない。  今日も大国くんとわたしは、ウサギの陰で横並びにぴったりとくっついている。ガードのかたちにちょいと挙げられたウサギの腕が、いい感じで背もたれになるのが好き。 「今日の部活は?」 「出るよ、来週の日曜日は市大会だから。ちゃんとトレーニングしないとね」 「日曜日? 応援に行ってもいい? お弁当、作っていってもいい?」 「うん」  大国くんは、とてもうれしそうに笑った。
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