第18話

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第18話

放課後を知らせるチャイムが鳴ると同時に、俺は教室を飛び出した。 行き先は決まっている。 理科室だ。 山崎の来る前に中に入ると、内側から鍵をかけた。 これでもう、誰も入ってこられない。 部屋のエアコンを入れて、鞄を置いた。 自分だけの空間。 ガラス扉の前で、一息つく。 さぁ、これからだ。 俺は公式ルールブックを広げた。 マシンの大きさは決められていて、W 400×D 400×H 600 mmの、指定された段ボール箱に収まるサイズとなっている。 動力は単一電池2本、打ち出す弾は、直径40mm、公式な卓球での、硬式ピンポン玉となっていた。 俺は遠慮なく、部のパソコンに保存されている、鹿島の設計ファイルを開く。 これはスパイでもパクリでもズルでも、何でもない。 あくまで参考資料だ。 アイツらの設計案によると、彼らのマシンは、的の出現位置に合わせて、あらかじめ発射角度を記憶させておき、2つの回転式ローターから、弾を発射して得点を狙う作戦らしい。 まぁよくある一般的なアイデアだ。 二つのローターの回転速度と角度で、照準を調整する。 正確なスタート位置と、ローター制御のプログラミングが問題だ。 だが、俺のは違う。 先日購入したタンデム型倍力シリンダーを使って、一気に弾を押し出す。 鹿島たちのアイデアでは、スタート位置が少しでもずれると、それで全てがお終いになってしまう。 繊細なうえに、とても危うい作戦だ。 一方、俺のは固定されたレールの上を素早く移動し、最初のスタート位置からの、左右の移動距離だけを記憶させて的を狙う。 上段と下段とで、上2つ、下3つのランダムに飛び出す的に、使用できる球数は30球、試合時間は2分、より正確なシュートで、得点を多く挙げた方が勝利する。 なんと言っても、まずはマシン本体だ。 規定サイズに収めるために、レールは分割して箱に収めるからいいとして、メインとなるシリンダーを中心に、ピンポン球30個の受け口と足回りをどうしようか。 「ま、発射口からやるかな」 直列させた電池のコードをシリンダーにつなぐ。 プライマリピストンの前にピンポン球を置き、スイッチを入れると、それは勢いよくテーブルの上を滑って、床に落ちた。 楽しい。
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