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びちょびちょ
冒険者ギルド。
ドラゴンの討伐からドブさらいまでなんでも行う仕事斡旋所。
ギルドランクを上げるという行為は信用度の高さからくる。
ランクの高さは仕事達成率……つまり、個々の強さと真面目さが伺える。
最低ランクにも強者は多いから侮れない。だが強いものは大概頭が狂っていて仕事をまともにしない。投げ出す、沸点が低いなど問題がある。
興味世間知らずのボンボンが最低ランクの万年Eランク冒険者を舐めてかかって壁のシミにされた今日、また問題児がギルドにやってこようとしていた。
ギルドマスター曰く、"Eランクはゴミ箱だ"。らしい。
ボロ布を巻いて、腰に木の棒を指しポタポタと水を垂らしながら裸足の男がギルドに入ってきた。
涙ではない、全身が濡れているのだ。
ボロ布一枚でギルドに来る人間は珍しくない。
スラム街の人間による仕事の依頼だったり一斉逆転を夢見て登録に来たり。
だが、それ以前にこの男には問題があった。
それは。
「キ、キャァァァァァァ!?!!」
悲鳴をあげる。体は濡れていた。
それも真っ赤な液体で。
ズルズルと血の道を弾きながら引きずられてきたのは同じような格好をした男。
だがその体は酷く歪んでいて、口からは胃が飛び出ており、眼球は飛び出し、身体中から血が流れ出していた。
その見た目はまるで釣り上げられた深海魚のように、内臓がひっくりがえって口からでている。
「犯罪者を殺せばお金がもらえる、そう聞いたのだが」
腰を抜かして倒れこむ受付嬢、悲鳴をあげる彼女にかけた第一声はそんなセリフだった。
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