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そこまでは予定通りだった。
しかし予定外のことが起こった。
私は再起動した。
光電源モジュールが光を捉えたからだ。
予定よりも早い。
随分早い。
私の時計によれば、243年と158日しか経っていなかった。
異常だ。
深宇宙GPSシステムを起動し、船の位置を測定した。
ちなみに、私は驚く等の感情を機能として備えていない。
しかし驚くべきことに、私の現在の位置は冥王星のすぐ近くであることがわかった。
ここは太陽系だ。
私は赤色矮星プロキシマ・ケンタウリの光ではなく、太陽光を浴びて再起動したのだ。
しかも方向が逆だ。
私の航路は目的地であるプロキシマbではなく、真逆の方向に向いている。
地球だ。
私は今地球へ向かっている。
秒速30㎞を超えるスピードで、地球へ帰投しようとしている。
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