病院の夢

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病院の夢

あるとき夢を見た。 白い部屋。目の前には白衣を着た男性。 僕はその男性に言う。 「一緒に死んで」 女性の声だった。 男性は困ったように笑う。 僕はもう一度言う。 「一緒に、死んで」 男性の首に細い指が絡まる。 ああ、あたしがこの人の首を締めてイルノネ。 不意に胃から何かが込み上げてきた。 げほ 口の中に血の味が広がる。 ああ、ダメよ。こんなんじゃ彼の首をキツくキツく締めてあげられないじゃない。 僕はもう立っていられなくなって、倒れた。 最期に女性の高い声はこう言った。 「ねえ、一緒に、死んでよ」 その女性が最期に望んだのは、愛する男性との心中だった。
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