猫と迷惑な先輩の夢

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猫と迷惑な先輩の夢

横断歩道。小さな腕に抱えるのは一匹の白い猫。 僕は知っている。この猫を。僕の、僕たちの大切な友だち 「さくらちゃん、おうちへ帰ろう!」 さくら。小学校で六年間、いや、今でも僕たちの友だちである白い猫。 おうちへ、帰る? あれ?じゃあ、この女の子は もも? それを認識した瞬間、横から車が飛び出した。 車は僕の、ももという小さな女の子の体を押し潰した。 痛い! 僕は思わず悲鳴をあげようとしたが、口から出たのは驚く内容だった。 「さくらちゃん、守らなきゃ」 こんな、こんな小さな女の子が自分よりも他の命を守ろうとしている。 強く、だけど潰さないように優しく腕の中の命を抱き締める。 体はもう、動かない。 もも。さくら。 遠くで救急車のサイレンが聞こえる。 きっと、間に合わない。 僕のたった数ヵ月一緒に勉強をしたクラスメイト。小さな女の子が最期に言ったのは 「さくらちゃん、また、会いたいな」 また、会えるかな また、会えるよね 未来の可能性を信じる、希望だった。
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