序章

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序章

「私は、純白の百合じゃないわ。こういう真っ赤な百合なのよ」  彼女はそう言うと、果物を切るために置かれていたナイフを手に取り、自分の指先をそれで切った。 そして、白い百合に赤い血を垂らす。 真っ白だった花びらに、真っ赤な血がゆっくりと染み込んでいく。 「赤い百合の花言葉は、虚栄心──私は虚栄心だけで作られた、偽物の張りぼてよ」
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