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出会い
ドンッ
肩が強く押された。
「ってーなぁー」
上がった声に、僕はうしろを振り返った。
「なに、ボーっとしちゃってんの?」
面倒なやつに絡まれた、と思った。いかにも大学落ちて荒れてます風の、二人組み。金髪の、ちゃらちゃらしたネックレスをつけた男が大げさに肩をおさえて顔をしかめ、後ろにはやけにでかいやつが構えている。
「すみませんでした」
「すんませんですむと思ってんのー?俺怪我しちゃったかも」
うわー、きた。おきまりのやつだ。
「人様に怪我したらちゃんと落とし前つけないとって~おかあちゃんに教わってないのかい?」
ふるいんだよ。言いそうになるのをこらえる。痛いはずの肩から早くも手を離して、僕のフードに手をかけようとしているネックレス男をはらいのける。
「ええ、いいのかなあ」
「お前、その制服有名な進学校だな?さいこうだっけ?」
大男が笑いながら言う。あほ、最央だよ。
「金よこせ」
鞄がひったくられる。やばい。
伸ばした手はいとも簡単に押さえられ、フードがとられた。
「うわ、こいつイケメンだぜ、むかつくな、」
プップーーーッ!
急に真横でクラクションが鳴った。
チンピラ二人ともが意表を付かれて視線をはずす。その目が見開かれた。緩んだ手を抜け出すべく転がり、僕も目を向ける。
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