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私と咲也の婚約に、周りはかなりざわついた。
特に咲也の浮気癖を知っている人たちには、私の気は確かなのか?と何度も問いかけられた。
私は、そんな周りのザワザワを他人事のように眺めていた。
自分が渦中いながら、そんな自分を外から眺めている気分だった。
結婚の準備は着々と進められていった。
お互いの両親への挨拶をして、式の日取りも決めた。
運良く3ヶ月後の4月にキャンセルがあり空きの出た式場に出会い、すぐに予約を入れた。
そうやって結婚の準備を進めていくうちに、今まで冷めきっていたように見えた私と咲也の仲も、付き合い始めた頃のようにお互いを想い合う二人に戻った気がした。
やっぱりこれでよかったんだ。
私はそう思った。
あの日。
プロポーズされたあの夜。
まるで催眠術にでもかかったように咲也の手を取った私。
咲也は私の手を引き寄せて私を強く抱き締めた。
そして、長い長いキスをした。
キスをするのすら久しぶりだった。
それくらい、私たちの心は離れていたんだ。
そのままソファーに倒れ込み、何か月かぶりに咲也に抱かれたあの夜。
愛してるのか
愛してないのか
それすら分からない
それでも、私はこの人と生きていく。
あの夜、咲也の腕の中でそう決めた。
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