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天使のディスティニーソング
優しい歌声
脅すような怒鳴り声
元気な掛け声
寂しそうな笑い声
明るくて楽しそうな声
―――でも、本当はツラいのを隠している声
声はその人の感情、気持ち、体調などの内面を表している。
どんなに嘘や方便で取り繕っても、私が聞くとその声色でだいたい分かってしまうことがある。
理由はわからない。
もしかしたら、小さいころから人の歌や朗読を聞いたりしてきたからかもしれない。
だからと、言うべきか
必然というべきか
私は気が付いたら声で人の好き嫌いができてしまった。
どんなにみんながイケメンだ、優しい性格だなどと言う人気の男の子がいたとしても、その声が私の好みでない音色を奏でるようならどうも好きになれなかった。
そんな中で唯一の友だち、そして親友である彼女と……
いや、彼女の歌声に出会ったのは奇跡、いや、運命のようなものだった。
好みや物事をはっきりと言ってしまうところがあり、小中学時代は友人と言えるクラスメイトも居なかった。
例えば、人気アイドルの何某がいいとかこの曲がいいとかクラスメイトで話題になる人の話になってもどこがいいのか私にはわからず
「え、歌下手。」
とか
「声がきれいじゃないよね」
とか
直球に感想を言ってしまい、その場の空気を凍らせたことは多々あったし、そのアイドルのファンの子を泣かしてしまったことさえあった。
今ならもう少しオブラートに包んでうまく言うこともできるが、あの頃の私は本当に不器用だったのだ。
そんな風に過ごしていれば必然的に私は一人で過ごすようになっていった。
いじめとかそういう感じではなく、ただ周りに溶け込むことができなかったのだ。
休み時間は一人で本を読むか、音楽を聴く。
そんな日々が別に辛いわけでもなく、当たり前に過ごしてきていた。
高校に上がってもそんな生活は相変わらず、入学当初は物珍しくも話しかけてくれたクラスメイト達がいて私も少しは話を合わしたりもしていたが結局長続きはしなかった。
挨拶はするが特に話すわけでなく、ただ同じクラスにいるだけの存在。
周りからもそれくらいの扱いだったと思う。
それでも、小中学時代ほどの直球で人を傷つけるものの言い方を少しやめただけましだったと思う。
ただあの時、音楽室の前を通りかかったときに彼女の歌声が聞こえたこと。
それが私と親友の姫凛 桃との初めての出会いだった。
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