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辛い生活の中で五年の歳月が流れた。
ダリオは、相変わらず天使の話が好きな少年だった。
それどころか歳を重ねるごとに、天使の話はますます鮮やかさを増していった。
「天使は、背が高くて、とても大きな輝く翼を持っているんだ」
「ここよりずっと、ずっと遠く、遠い遠い世界の果てに天使の国があるんだよ」
「いつかきっと、お金を貯めて、その天使に会いに行くんだ」
ダリオは、もう十二歳になろうというのに、天使の話に夢中だった。
誰彼構わずに天使の話を聞かせるものだから、近所の大人達はダリオの話題が出ると、こう言った。
「ああ、あの気の毒な”天使”の子ね?」
「親父さんが戻らなくなって、もう何年にもなるらしい」
「きっと、自分の親父さんのことを重ねて言っているんだよ」
「アベラルドが出兵した時は、あの子はまだ乳飲み子だったんだ」
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