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「大丈夫か? 顔色悪いぞ」と半笑いの健太くん。
「だ、大丈夫、慣れてないだけだから」
「ここで休んでるか? 聞き込みぐらい俺一人でも出来るし」
「いや、行くよ。初めての仕事だからちゃんとしたい」
「真面目だねぇ。移動中に、話聞けそうな奴の目星はつけてきた。軽めのやんちゃ坊主じゃないと意味がないしなぁ」
「なんで?」
「だってさぁ、いざ話しかけてみて、その不良グループのものですって言われたらちょっと面倒だろう?」
そう言いながら健太くんは、クレーンゲームに夢中の二人組の少年に話しかけた。見た感じ、髪を茶髪に染め派手な風貌ではあるが、まだあどけなさが残る顔立ちだった。目つきも不良よりかはマシである。これが健太くんの言う、軽めのやんちゃ坊主らしい。僕にはちょっと判断に苦しむ差である。
「ちょっと聞きたいことあんだけど。別にカツアゲとかじゃないからさぁ」
「あんた何? 今いいところなんだよね。だから邪魔しないでもらえる?」
「まあまあ、聞きたいことあるだけだって。答えてくれたら、すぐにでもいなくなるからさぁ。ここらへんで有名な不良グループのことなんだけど」
「うん? あぁ工藤さんのとこ?」
「ふ~ん、リーダーは工藤って言うのか……。最近そこ、なんかトラブルでもあったのか?」
「う~ん、はっきりとは知らないんだけど、確か聞いた話では、リーダーの工藤さんが誰かに襲われたって。裏路地でさぁ、真っ昼間に後ろから殴られたらしいよ」
「うわぁ、卑怯だなぁ、それ」
「そうかな、それでもうまくかわすのが真のリーダーじゃないの? しかもその犯人、最近入ってきた新入りだとかなんとか。余計にダサいよねぇ。メンバーが今、血眼になって探してるって聞いたけど」
「へぇ~。そりゃあ大変だなぁ」
「でもリーダーの工藤って人も結構横暴で、やりたい放題なんだってさ。だからついて行けないと思ってた人もいたらしいし、いろんなところで恨み買ってたらしいからさぁ」
「襲われてもおかしくないってことか?」
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