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一輝くんの姿が見えなくなるまで見送ったあと、僕が事務所に戻ろうとすると、聞き慣れた声が飛び込んできた。
「あっれぇ、龍臣何してんの?」
健太くんと大神さんの出勤らしい。僕はそれを笑顔で迎える。
「なんでもないよ。しいて言うなら、青春って素晴らしいかな?」
「はっ? 訳分からん」
「いいんだよ。さぁ、今日もお仕事だ。その前にお菊ちゃんが作った朝ご飯を食べないと」
「まじ? ラッキー、俺ももらおうっと。朝めし、まだ食ってないんだよ」
「どうせ仕事しないんだから、食べちゃダメだよ。もったいない」
「いやいや、そもそも依頼入ってないから龍臣も同じじゃんかぁ~」
健太くんの言葉を無視し、僕は事務所に入る。大神さんは相変わらずの無表情。でもこれが僕たち、牛久探偵事務所。
僕の探偵生活は始まったばかりだった。
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