第十章 未来への卒業

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 屋敷に到着し、昼食を済ませた後、伊織はすぐに駿の部屋へやって来た。 「伊織さん」 「駿、シャワーを浴びてきてくれないか?」 「はい……?」  普段なら『シャワーを浴びてきたまえ』と来るはずだが。 (伊織さま、から、伊織さん、になったように、言葉遣いも改められたのかな?)  そんな風に考えながら、部屋に設けられたバスでシャワーを浴びていると、静かにドアが開いた。 「!」  そこには、生まれたばかりの姿の伊織が立っていた。 「駿。君は今、発情期かな? やけに私を誘ってくるね」 「そんな。お薬は、ちゃんと飲んでます!」 「薬も効かないほどの、フェロモンか。今度、医師に告げて、調合を強めてもらわなくてはな」  素裸の伊織は、背後から駿を抱きしめた。
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