第十章 未来への卒業

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「伊織さん、僕がやります! 先に、伊織さんの体を」 「いいんだ。たまには、私が君に尽くしたいんだよ」  交代で、そうして体を清めあった後、ようやくバスルームから出た。 「少々のぼせたな」 「暑いですね……」  アイスティーを淹れます、とかいがいしく動く駿に、伊織は眼を細めた。  キッチンを、すでに自分のものとして使いこなしている駿を、嬉しく思った。 「どうしたんですか?」 「私が、どうかしたか?」 「何だか、ニヤニヤしてます」  それは、と伊織はわざとニヤケ顔を作って見せた。 「バスルームでの君の可愛い姿を、思い返していたんだよ」 「……ッ!」  赤くなって、再びキッチンへ消える駿。  ああ、それでいい。  こうやって触れ合いながら、生涯のパートナーになって行こうじゃないか。  運命の番を、構築していこうじゃないか。
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