ハートブレイク

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ハートブレイク

「ねえ。今度ね、クラスにいた唯香が結婚するんだって」 「ふーん」 同棲している彼はそう言って、スマホから目を離さずに返事をした。 そんな彼の態度に呆れるように彼女はバイト先へ向かった。 ……そろそろ5年間か。 交際していた二人は、ここ二年は一緒に住んでたが、彼は一向に結婚しようと言ってくれなかった。 同棲暮らしにすっかり慣れている事や、彼が正社員になるまで、という目安のために、彼女はヤキモキしていた。 ……私の事は何とも思ってないのかな。私は結婚したいと思っているのに……。 友人達にはタイミングが大事とか、同棲するのが悪い、とか色々言われていた彼女は、自分に何か落ち度があって、彼が結婚してくれないのかと思うようになっていた。 そんな彼女は、友人から聞いた方法を夜に試して見た。 これは結婚情報誌を何気に部屋に置くというものだった。 わざと目に付くところに置いて風呂に入った彼女だったが、風呂から上がると彼はもうベッドで寝ていた。 キッチンには彼が使った食器。 部屋干しの洗濯物は彼女が洗ったもので、これを見て当番制だった洗濯をしていないことを彼は何とも思ってないようだった。 そんなことがあった数日後。 バイト先からマンションまで歩いて帰ってきた彼女は、仕事帰りの彼が見た事のない女の人と歩いているのが見えた。 バイトの自分はノーメイクでくたびれた私服なのに対し、彼の隣の彼女はスーツ姿で颯爽としていた。 ……そうか。壮ちゃん。好きな女の人ができたんだ。
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