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「女将さん!悪代官の顔になってますよ」
こうして宴会が終わると、彼らは風呂に行った。
そんな中、壮がコソと彼女に話しかけてきた。
「カラオケですか。それは1階のスナックですよ」
「あとはね。上司のおじさん達が麻雀をしたいって。でもメンツが足りないんだ」
「うちの布団係のおじさんができますよ。それにチップを上げればお客様を勝たせてくれますよ」
「マジで?あとね。お局さまがマッサージして欲しいって言うんだけど、痛くないやつ」
「お部屋に呼べますよ。フロントに相談してください」
「そ、そう」
その時彼は会社の女子に呼ばれていた。
その声に彼女は心を切って彼に向かった。
「では、ごゆっくり!」
「あ」
彼の声が聞こえたが、彼女は聞こえない振りをしてここを後にした。
だから彼には泣いているのは見つからずに済んだのだった。
その夜、寮の部屋で眠れぬ夜を過ごした美樹は、朝早く思い出の場所にやってきた、
「あった。懐かしい……」
それは橋に付いて南京錠だった。
三年前、恋人達の愛の印に南京錠をつけるのが流行りここにはたくさんの鍵が付いていたが、重さで橋が危険になってきたため、持ち主に取りにくるように温泉街ではPRしていたのだった。
……私と壮ちゃんが付けたのはどこだっけ、あ。これかな。
出会った頃の彼との思い出が溢れているのでこの橋を避けていた彼女だったが、今は違った。
……ここに住んでいるのに、南京錠をつけっぱなしなんて壮ちゃんにみつかったら。まだ好きだってバレバレだもの。
そんな美樹はこれを開ける鍵はもう無いので、どうにか外そうと思い、旅館に合った工具を持ってこれを壊し外そうとしていた。
「何をしているの」
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