前世の記憶、思い出しました

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 普通に学生生活を送ってもよかったのだが、シルヴィアーナとしては在学中にできる限り稼いでおきたかった。  前世では、いつか祖母の残した古民家で、姉とカフェを経営するのが夢だった。  自分達で育てた野菜で作った料理やお菓子を提供するカフェに、ハンドメイド小物を売るスペースを併設する。  いつかスローライフを実現することを目標に、社畜生活を送っていたのである。  記憶の蘇ったシルヴィアーナは、まず、自分の身体を徹底的に確認することにした。  とある条件を満たすと、シルヴィアーナがラスボスとしてプレイヤーパーティーの前に降臨する展開もある。  五人パーティーでも苦戦するほど強いらしい――というのは、SNS上に流れてきた画像で知ったこと。  妙にごつごつした棘が生えていたり、黒くばっさばさな翼を背負ったりしたシルヴィアーナは、まさしくラスボスにふさわしい貫禄だった。  その分、能力値も高かったのである。  さすが、人類を引退した女とプレイヤー達をおののかせただけのことはある。  あまりの派手さにラスボススチルを思い返した瞬間はげんなりしたが、 自分の能力値が高いということが判明したら、あとはそれを強化するだけ。
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