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言いたいことは言わせていただきます!
「怪我に関しては、回復魔法をかければよろしいのではなくて? カティア嬢は、回復魔法の使い手であったと思いますけれど。それに、一週間前はわたくし、学園におりませんでしたのよ」
うつむくようにして、シルヴィアーナは扇の陰で目を伏せる。あまりにも気落ちしているように見えたのか、彼女に手を差し出そうとした男子生徒がいた。
「馬鹿、今、この状況で出ていったら王家に目をつけられるぞ!」
友人の言葉に、前に出かけた少年は、慌てて自分の位置へと戻る。そんな彼を、クリストファーはじろりとにらみつけた。
「学園にいなかったって、授業をさぼって何をしていたんだ?」
その点もまたクリストファーの攻撃ポイントとなったらしい。シルヴィアーナの方は、その点もきちんと打ち返す準備をしていた。
「一週間前は、卒業試験も終わり、授業はありませんでした。時間ができたので、わたくし、いたいけなご老人の頼みでダンジョンに大根を掘りに行っておりましたのよ?」
「……はぁっ!?」
ダンジョンに大根を掘りに行く――令嬢の口から出るのに、これほど不適切な言葉もなかなかない。はたして、シルヴィアーナの言葉に、大講堂中がしんと静まり返った。
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