伝説のくそゲーの世界に転生しました

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伝説のくそゲーの世界に転生しました

 シルヴィアーナ・メルコリーニ。  彼女がメルコリーニ公爵家令嬢として生まれたのは十八年前。だが、彼女にはその前、おそらく二十代後半まで生きていた記憶がある。  大講堂から、転送陣――思った場所に一瞬にして移動することのできる魔術――を使って一気に寮の自室に帰還したシルヴィアーナは、ベッドの下からトランクを引っ張り出した。もう、出ていく支度は完全に終わっている。 「やー、長かったわぁ……本当に、長かったわぁ……私、よく我慢できたわぁ……!」  聖エイディーネ学園に入学して六年。  その間、あの王太子とペア扱いされるのは本当に苦痛だった。  クリストファーと婚約が決まったのは、八歳の時。今から十年前だ。  王太子の婚約者だからと、常に立ち居振る舞いに注意しなければならず、何かひとつミスをすれば、常に上げ足を取られ続けた。大講堂ではそのあたりの不満が思いきり出ていた気もするがまあいいだろう。
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