さあ!スローライフを始めよう

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さあ!スローライフを始めよう

「やっほう、到着!」  一瞬にして、王都から遠く離れた辺境の地までワープした"シルヴィ"は、"自分の城"を見回した。  白いシャツに茶色のズボン、それから茶色の上着という服装は、高価な品ではない。庶民のよく行く店で購入したものだ。 「ふんふんふーん」  鼻歌交じりに、ぐるりと部屋の中を見回す。  寝室に置かれているのは、公爵家の物置から持ち出してきた家具なので、一般家庭に置かれている家具にしては少々上質であるのはいなめない。  だが、使う人もなく放置されている家具をそのままにしてくのはもったいないというもったいない精神がそうさせたのだからしかたない。  ここは、ウルディという国境近くの町だ。王都のヴェノックまでは、普通の移動手段では、ひと月ほどかかる。シルヴィの場合は、一瞬であるが。  この家は、ウルディの中心部からは、 歩いて二十分ほどろうか。跡取りのいなくなった農場を買い取って新たな住まいとした。
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