黒ネコのおはなし

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 あれから、しばらくたちました。  ルーンはレンさんがどうなったのか、知りません。  なにしろ、あれからずっとおばあさんと話もしていなければ、顔も合わせていません。  もちろん、ご飯も食べていません。  ルーンはレンさんが連れてかれてからも窓辺のテーブルで待ち続けました。  おばあさんは心配していたようですが、何を言っても動くことのないルーンをどうすることもできませんでした。    “そとのせかい”では木の葉が緑から黄色にかわりました。  それでもレンさんは来ません。  “そとのせかい”の空気がとても冷たくなりました。  白い綿のようなものもちらちらと舞っています。  それでもレンさんは来ません。  その間、ルーンはどんどん弱っていきました。  それでもルーンは窓から離れようとはせず、ずっとレンさんを待っていました。  しばらくして、暖かな空気が窓から入ってくるようになりました。  でもルーンはもう動くことすらできなくなっていました。  ふわふわだった毛も今ではもうぼろぼろになり、昔の面影はまったくありません。 『こっちにおいで』  そんな時、暖かな空気がルーンを呼びました。  ルーンはピクリと耳を動かし、その声のほうを見ました。  いつの間にか窓は開き、そこから空気が入ってきたようです。  そして、その窓から“たいよう”の光がルーンを照らしました。 『こっちにおいで』  “たいよう”もルーンを呼びました。  ルーンは持てるだけの力を振り絞り、立ち上がりました。  すると木の上に何かがいるのを見つけました。 「こっちにおいで、ルーン。」  そう言ったのはあのレンさんでした。  でもルーンは走ることができません。  そんな力はもう残っていないからです。  レンさんがルーンのもとに走っていきます。  でもルーンは力なく、ぱたりと倒れてしまいました。
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