第二章 舞踏会のシンデレラ

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「中国語を話せる女性を選んだとは賢いわね」 稲垣夫人が言った 「彼女に出会ったのもそういう関係なの? 通訳か何か?   」 ヨシノが中国語を話せるって? 周囲のテーブルのざわめきで声が 聞こえづらいので ヨシノの唇の動きを追ってみると 確かに彼女は中国語を話していた そしてトオルの視線に気付くと グー・チェン・チョウ達に手を振り トオルの元へやってきた 興奮で頬を染めている 「楽しかったわ! あんなに愉快な人達なら初めから そう言ってくれればよかったのに」 「君も中国語が堪能だと言って くれなかったじゃないか どこで中国語を?   」 「アツシのリゾートに出入りしていれば いろんな外国人と仲良くなるの この間滞在していた 中国の漢方薬製造会社の 社長にここの観光案内をしてあげたの 3日も彼らと一緒にいれば大抵の言葉は しゃべれるようになったわ」 「・・・・君は語学の才能があるんだな」 「それを言うなら コミ二ュケーション能力の才能かしら?  要は心を開いて相手を受け入れたら 言葉の壁なんか大したことないのよ」 トオルは信じられない 気持ちで彼女を見ていた
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