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「中国語を話せる女性を選んだとは賢いわね」
稲垣夫人が言った
「彼女に出会ったのもそういう関係なの?
通訳か何か? 」
ヨシノが中国語を話せるって?
周囲のテーブルのざわめきで声が
聞こえづらいので
ヨシノの唇の動きを追ってみると
確かに彼女は中国語を話していた
そしてトオルの視線に気付くと
グー・チェン・チョウ達に手を振り
トオルの元へやってきた
興奮で頬を染めている
「楽しかったわ!
あんなに愉快な人達なら初めから
そう言ってくれればよかったのに」
「君も中国語が堪能だと言って
くれなかったじゃないか
どこで中国語を? 」
「アツシのリゾートに出入りしていれば
いろんな外国人と仲良くなるの
この間滞在していた
中国の漢方薬製造会社の
社長にここの観光案内をしてあげたの
3日も彼らと一緒にいれば大抵の言葉は
しゃべれるようになったわ」
「・・・・君は語学の才能があるんだな」
「それを言うなら
コミ二ュケーション能力の才能かしら?
要は心を開いて相手を受け入れたら
言葉の壁なんか大したことないのよ」
トオルは信じられない
気持ちで彼女を見ていた
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