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「ヘルメットは? 」
「僕につかまっていればいい!!」
「まぁ!だめよ!キャァ!! 」
二人は笑いながら急発進で埃っぽい
砂利道をべスバで走り出した
ヨシノは彼にしがみつき
スクーターがカーブを曲がるたびに
笑い声をあげ腕に力をこめた
スクーターは長く緩やかな側道を
スイッチバックしながら順調に
崖を登って行った
登るにつれ眼下の景色が広がっていく
彼が幼少のころに育った場所は
とても美しかった
岩の多い入り江や美しい砂浜を通りすぎて
崩れかけた砦の遺跡へと坂をあがっていくとそこで二人はスクーターを止めた
そしてヨシノの手を取り
遺跡の頂上まで歩いて行った時は
二人は爆笑していた
何がそんなにおかしいのか
わからなかったが人は楽しくても
爆笑するものだとヨシノは心の中で思った
すると夕日が海に沈む素晴らしい眺めが
目前に広がった
二人はその場に座り
海面にゆっくりと日が沈んでいくのを
そっと寄り添って無言のまま
しばらく見入った
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