第二章 舞踏会のシンデレラ

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「君はわかっていない! 今うちは大変な時期なんだ 」 「本当の男ならたいへんな 時に逃げたりしないわ」 藤井が懇願するように言った 「僕達はすごく 上手くいってたじゃないか忘れたのか?」 「あなたは奥さんと結婚の誓い を立てたのを忘れているわ」 藤井がチラリとトオルの方を見た 「君が金で心を動かされる女だとは 思わなかったいずれ君も思い知らされるだろう あの男は君と寝ることしか興味ないんだぞ!」 「今なんて言った?」 ヨシノは藤井を見つめ それから遠くにいるトオルの方を見つめた 「そうね・・・・ あなたの言うとおりかも・・・・ 」 ホッと安堵したように 藤井がヨシノにつめよる 「よかった・・・・ あの男が君にふさわしくないと 気付いてくれたんだね」 ヨシノが首を振った 「いいえ! 私の計画には彼こそがふさわしいと 再確認しただけよ さぁ!私の胸をチラチラ見ていないで あなたは妻子の元へ帰りなさい! 」 ヨシノはそう言い捨てて高力彩愛をまねて ハイヒールの踵を怒りにまかせて 大いに鳴らしトオルの元へ歩き出した とても気分がよかった なんだか自分がとても 強くなったような気がする そしてさっきからずっと気になって いる事にもさっきの勢いで 向き合える覚悟が出来た 数分前からずっとヨシノに付きまとって いるリポーター群にくるりと向き直って 立ち止まった 同時に報道陣もピタリと立ち止まる ヨシノは報道陣にハッキリと大きな声で言った 「知ってるのよ! さっきから私の胸をずっと盗み撮りするのはやめて!」
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