3270人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
「君はわかっていない!
今うちは大変な時期なんだ 」
「本当の男ならたいへんな
時に逃げたりしないわ」
藤井が懇願するように言った
「僕達はすごく
上手くいってたじゃないか忘れたのか?」
「あなたは奥さんと結婚の誓い
を立てたのを忘れているわ」
藤井がチラリとトオルの方を見た
「君が金で心を動かされる女だとは
思わなかったいずれ君も思い知らされるだろう
あの男は君と寝ることしか興味ないんだぞ!」
「今なんて言った?」
ヨシノは藤井を見つめ
それから遠くにいるトオルの方を見つめた
「そうね・・・・
あなたの言うとおりかも・・・・ 」
ホッと安堵したように
藤井がヨシノにつめよる
「よかった・・・・
あの男が君にふさわしくないと
気付いてくれたんだね」
ヨシノが首を振った
「いいえ!
私の計画には彼こそがふさわしいと
再確認しただけよ
さぁ!私の胸をチラチラ見ていないで
あなたは妻子の元へ帰りなさい! 」
ヨシノはそう言い捨てて高力彩愛をまねて
ハイヒールの踵を怒りにまかせて
大いに鳴らしトオルの元へ歩き出した
とても気分がよかった
なんだか自分がとても
強くなったような気がする
そしてさっきからずっと気になって
いる事にもさっきの勢いで
向き合える覚悟が出来た
数分前からずっとヨシノに付きまとって
いるリポーター群にくるりと向き直って
立ち止まった
同時に報道陣もピタリと立ち止まる
ヨシノは報道陣にハッキリと大きな声で言った
「知ってるのよ!
さっきから私の胸をずっと盗み撮りするのはやめて!」
最初のコメントを投稿しよう!