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なるほどアツシと呼び捨てにする
ぐらいだから笹山オーナーが経営する
このリゾートと彼女はかなり
深く関わりがあるみたいだ
そして先ほどの笹山オーナーの
脅しはトオルに理性のブレーキを
上手くかけさせていた
世間知らずで楽観的で語学が堪能な
ヨシノはここの地域に深く根付き
多くの人に守られているらしい
「あら?あれは何?
稲垣夫人が呼んでいるわ 」
シャンパンを飲んでいるせいか
楽しそうにはしゃぐヨシノが
おもしろかった
夫人もそうなのだろうすっかり楽しい
彼女の話術に見せられ
今は自分の知人を次から次へと
ヨシノに紹介している
トオルはそんなヨシノを遠目に
ため息をつきながら見つめていた
彼女にはハラハラさせられっぱなしで
落ち着かなく保護者のような気分に
させられる
こんな感情的になったのは
いつ以来だろう
トオルは信じられない気持ちで小さく
首を振った
「彼女 今夜の主役ね」
気が付くとグー・チェン・チョウが
隣にいて驚いた
トオルの肩ぐらいの小柄な男は
派手な刺繍のチャイニーズ服を身にまとい
髪を橇り上げキョンシーのような帽子を
かぶっている
今更ながらこの小柄な男が
全中国の裏の世界を牛耳っているなんて
誰が聞いても信じられないだろう
しかしそれは歴然とした事実でもある
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