3269人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
チョウは夫人たちに囲まれて
楽しそうに笑うヨシノを見て微笑みながら
ゆっくりと片言の日本語で話した
「HUAWEI(ハーウェイ)との仲介ね
前向きに考えてみてもいいね
年が明けたらうちのオフィスに来るよろし
ヨシノが通訳してくれる 」
ギロリとトオルを睨みつける
その迫力は小柄な男には似つかわしくなく
思わず緊張で体が硬くなった
「ただし私も稼がせるよろし?」
日本語がしゃべれるのか・・・
トオルは呆気にとられたが
勤めて冷静に答えた
「ご期待に沿いましょう」
「母国語しかしゃべれないと思わせるの
楽ね
みんな私がわからないと思いいろんな事
私の前でしゃべる私五か国語話せる
これ内緒ね 」
トオルは驚いて目を丸くした
彼のそばで余計な事を言わなくて
よかったと心から安堵した
その時チョウがニカッと笑ったので
釣り上がった一重の目が線になった
「おまえ女の趣味がチョウと同じね
ヨシノすばらしい 」
そう言ったチョウは
自分の胸をゼスチャーで揉むふりをした
そしてなんどもヨシノの胸をゼスチャーして
「すばらしい!すばらしい」
と満面の笑顔をむけて去って行った
・・・・えー・・と・・・・・
トオルはこめかみを押さえた
どうやら彼女のおかげで
チョウとの商談はうまくいったらしい
まさに今夜このレセプションパーティーに
来た難攻を示すであろうと考えていた
当初の目的が上手く行った
しかもこんなにあっさりと!
彼女のおかげで?
彼女と出会ってから信じられない事ばかりだ
最初のコメントを投稿しよう!