第二章 舞踏会のシンデレラ

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チョウは夫人たちに囲まれて 楽しそうに笑うヨシノを見て微笑みながら ゆっくりと片言の日本語で話した 「HUAWEI(ハーウェイ)との仲介ね 前向きに考えてみてもいいね  年が明けたらうちのオフィスに来るよろし ヨシノが通訳してくれる 」 ギロリとトオルを睨みつける その迫力は小柄な男には似つかわしくなく 思わず緊張で体が硬くなった 「ただし私も稼がせるよろし?」 日本語がしゃべれるのか・・・ トオルは呆気にとられたが 勤めて冷静に答えた 「ご期待に沿いましょう」 「母国語しかしゃべれないと思わせるの 楽ね みんな私がわからないと思いいろんな事 私の前でしゃべる私五か国語話せる これ内緒ね 」 トオルは驚いて目を丸くした 彼のそばで余計な事を言わなくて よかったと心から安堵した その時チョウがニカッと笑ったので 釣り上がった一重の目が線になった 「おまえ女の趣味がチョウと同じね ヨシノすばらしい        」 そう言ったチョウは 自分の胸をゼスチャーで揉むふりをした そしてなんどもヨシノの胸をゼスチャーして 「すばらしい!すばらしい」 と満面の笑顔をむけて去って行った ・・・・えー・・と・・・・・ トオルはこめかみを押さえた どうやら彼女のおかげで チョウとの商談はうまくいったらしい まさに今夜このレセプションパーティーに 来た難攻を示すであろうと考えていた 当初の目的が上手く行った しかもこんなにあっさりと! 彼女のおかげで? 彼女と出会ってから信じられない事ばかりだ
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