第二章 舞踏会のシンデレラ

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その時ヨシノが笑いながらかけてきて あやうく躓きそうになったのでトオルが 慌ててふらつくヨシノを捕まえた 彼女がトオルの腕の中に ころがりこんできた ドレスが照明のもとできらめく 頬を赤らめて紅潮した彼女が言った 「私! あとくされの無いセックスがしたいの 感情抜きの 愛とは無関係のセックスが! ねぇあなたはそういうセックスの ベテランなのよね?」 トオルは片眉をあげてヨシノを見つめた 皮肉なことに彼の当初の目的が まさにそれだった 一目見た時からヨシノをベッドに 連れて行くことしか頭になかった ヨシノはセクシーで それをわかっていないぐらい天然だ! しかし今夜一緒にいるうちに 彼女の人生の目的とトオルとは 大違いであることに気が付いた そして彼女はこの村のいろんな人に 愛され守られているトオルの性的衝動も 彼女のためには理性に膝を屈していた 「酔ってるな? 夫人に何杯シャンパンを飲まされた?」 「酔ってなんかいないわ 少ししゃべりにくいだけ 」 「それを酔っぱらって ろれつが回らないと言うんだ」 「ねぇさっきみたいにキスして あなたにキスされるとふわふわ~って いい気分になるの       」 ん~~っっとヨシノが 可愛らしい唇を突きつけてきた その唇から遠ざかろうと トオルが顔を傾ける その時ヨシノのバックの中から スマホが鳴った 「きっとヒデ坊とアツシよ 私が大丈夫か心配しているのよ」 「君も彼らの言うことにもっと耳を――」 「嫌よ!出ないんだから! あなただってそうしてるでしょ!」 ゴロゴロと酔っぱらったヨシノが すり寄ってくる 彼女の髪からふんわりと 良い匂いがしてくる 「そろそろ君を連れて帰る時間だ」 これじゃまるで保護者じゃないかっっ! トオルは心の中で悪態をついた
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