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顔赤らめながら恥ずかしそうにする孝弘を見て、どういう意味かわからないと思うほど須王は鈍感ではない。
「……だめ?」
上目遣いでそう言われて戸惑った。
(嘘だろ……)
純粋に可愛いと思ってしまったのだ。今まで女に困ったことはないが、面倒くささからか恋愛したいという愛情を感じた事もなかった。それがまさか、孝弘に……。
「だめじゃねーけど。お前もう少し自分を大事にした方がいいんじゃねぇ?」
細いが男の骨ばった手首をぐっと引き寄せ腕の中に抱き込んだ。
鼻先に孝弘の髪が当たり甘い整髪料の香りが鼻を掠めた。すっぽりと自分の腕に収まった孝弘が震えているのがわかり、相当無理をして言った台詞だったのかと推測できた。
「大事って……」
「だからもっとお互いを知ってからでも遅くねぇだろってこと」
孝弘の手が須王の胸元のシャツを掴む。
「俺、実はちゃんと恋愛したことなくて……よくわかんないんだよね。男同士ってどうしても体が先になっちゃうっていうか……」
恋愛経験の浅さと不器用さはもしかしたら自分に似ているのかもしれない。そう思うと更に愛しい。
いつもならば衝動に突き動かされるまま性的欲求の解消に突っ走る須王だったが、孝弘が相手となると同性ということもあり勝手がわからず臆病にもなる。
「そんなの俺だって同じだから」
孝弘の唇に目を奪われてゆっくりと、どちらからともなく口付ける。
「……んっ、ん」
(結構エロい、かも……)
「……!!」
(っ!?……まじか!!!)
孝弘の鼻から漏れる吐息に須王の下半身が思いっきり反応した瞬間だった。
end。
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