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「あ゛ーっ、気になる!!」
突然頭をぐしゃぐしゃと掻きむしるようにした孝弘の傍らで、クラスメイトの笠岡三織がびくっと肩を揺らした。
「どうした白谷。みおりんがビックリしてんぞ。あんま驚かすなよ」
「ってーな!」
コツンと孝弘の頭を小突いたのは龍雅崎 紺だ。見るからに目付きも悪く髪色が明るい紺と目立った服装の乱れもなく大人しそうな三織。二人は孝弘と仲が良い。元気が売りの孝弘と偶然馬が合ったのだろう。大抵この3人で連んでいた。
「みおりん驚かせてごめん」
「いや、大丈夫。ちょっと驚いただけ。それより何が気になるの?」
「え?……あー、実は5限さぼった時にさぁ……」
かくかくしかじか、孝弘は事の成り行きを2人に説明した。
「えー。それって完全にとばっちりじゃない?」
「だな。そいつも気の毒に」
「こっちだって想定外だっつーの」
まさか自分を追い掛けていた熊田が途中でターゲットを変更するなんて誰が予測出来ただろうか。
「なー……あのイケメン上履きの色一緒だったからタメだと思うんだけど、ツーブロックにゆるパーマかけてて結構ガタイ良くて……名前知らねぇ?」
孝弘は少しの罪悪感を許すことが出来ず、須王に謝罪したいと考えた。あの後どうなったのかも気掛かりだ。あのがっしりした身体なら一方的にやられるということはないだろうと多少の楽観視は出来るものの相手が巨体熊田ではあのイケメンの安否は定かではない。
「んー……ツーブロックのイケメンっつったら……んんん」
紺が考え込む仕草を見せる。その横で三織が「あ」と小さく声を発した。
「杵柄君……かな?1年の時同じクラスだったツーブロックは結構いた気がするけど、イケメンっていうと杵柄君しか思い出せない」
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