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それにあの運動神経とスタミナ。一方的にやられる奴ではないだろう。そんな孝弘が何故。
須王はそれが気に入らなかった。悶々とそんな事を考えていると孝弘がドリンクの入ったコップを抱えて戻ってきた。
「お待たせー」
孝弘は須王にコーラを手渡した。
「どうも」
そして孝弘も須王の隣へ座る。むしゃくしゃしていた須王は手渡されたコーラを一気にごくごくと飲み干した。
「コーラの一気飲み出来るの!?すげーっ!カッコいいね!」
それを見た孝弘が隣で目を輝かせている。
「俺炭酸の一気飲み出来ないんだよね。杵柄君て見た目もやる事もイケメンなんだな」
「え、そんなことでイケメン扱いしてくれんの?……それより白谷の方が、運動神経良さそうだし、あんだけ走って息が乱れないって普通考えらんねぇんだけど」
「……俺、誉められてんだよね。ありがと」
男二人が隣合って座り、お互いを誉め合うなんて。なんて気持ち悪い絵面だろう。いつもならばそう思う筈なのだが。
(男臭さが足りないからそう思わねぇのか)
と、須王は妙に納得してしまった。
「それよりアイツは何なんだ。あの熊みてーな3年は」
「ぶっは」
「……」
須王の問いに孝弘は口に含んでいたコーラを吹き出し、クックッと笑いを堪えている。
「ごめんごめんっ、我慢出来なかった……!あの3年の名前、熊田っつーの!杵柄君ピンポイントで核心つくから……!」
「熊田、か」
「だからっ、イケメン風に言うなよっ!!」
孝弘は須王の言葉がツボに嵌まってしまったらしく、しばらく女子高生のように笑い転げていた。
ひーひーと腹を抱えて笑う孝弘に尚も質問を浴びせかける。
「何であんなのに絡まれてんだよ。端から見たら熊に食い殺されそうなリスみたいだよお前」
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