28人が本棚に入れています
本棚に追加
孝弘は徐々に落ち着きを取り戻し、熊田との関係を話し出した。
「いやー……あいつしつこくてさ」
「……?」
(しつこいって何が……?)
須王はわけがわからず孝弘を見詰めた。一瞬視線が絡んで孝弘は瞼を落とす。伏せ目がちの瞼には意外に長い睫毛が揺れていた。男にしてはキメが細かくなめらかな頬。顔の作りは小動物的であどけない。唇なんて血色の良い赤みを帯びていて……。
そこまで思って須王ははっとした。性の対象として見られてるという事だと気付いた。
「しつこいって……そういうことか」
「そう。しつけーのあいつ。LINEにも俺のチンコ握れって何度も入れてくるし」
「はぁ!?」
そんなに直接的なのか?と須王は驚いた。
「一度うっかり人気のないところで二人きりになっちゃって。そしたら熊田がチンコ出してきてさ。それがまぁ、500ミリ缶みたいな太さと長さでグロいったらないの!あんなの突っ込まれたら俺死んじゃう!!」
「マジかよ……」
孝弘の話しにももちろん驚いたが、孝弘が男も相手に出来るニュアンスを含んだ言い方にも驚いた。
「キモイってはっきり言ってやったらあんな感じになっちゃった。……巻き込んでごめんね」
「いや……俺は何ともねぇけどお前大丈夫か?」
「え?」
「だから、熊田。あいつのウェイト相当だぞ。マウント取られたらヤバいだろうし、校門にいたのって熊田の仲間じゃねーの。いくら白谷が強くてもあれじゃ……」
「なに、杵柄君。心配してくれんの?嬉しいな」
はにかむ孝弘を見て須王の中で何かがカタンと音を立てた。
「そいつの番号。つーかスマホ貸せ」
「え、え、え!?」
須王は孝弘の携帯を奪うと熊田と思わしき番号を表示して孝弘に確認し迷うことなく通話を押した。
最初のコメントを投稿しよう!